TISO | IBC | JTEPA
このページでは、タイへ進出するに当たって、注目に値すると思える三つの優遇措置等をピックアップしました。
"TRADE & INVESTMENT SUPPORT OFFICE"
「貿易投資支援事務所」
「貿易投資支援事務所」(「TISO」)とは、BOIの投資奨励対象活動の一つ(投資奨励カテゴリー7.7)であり、TISOの認定を受けることができた場合、そのタイ法人が外資100%であっても、外国人事業法上、原則的に外国人に禁止されている「サービス業」および「卸売業」を一定の範囲内で営むことが認められます。また、土地の所有も認められます。ただし、TISOは税務上の優遇措置はありません。
基本要件
TISOの認定に限らす、BOIより投資奨励優遇措置を受けるための基本的条件に、以下が含まれます。
1. その事業は20%以上の付加価値を生む事。
2. 奨励対象事業に少なくとも1百万バーツの最低資本金が投資される事。
3. 新規事業の場合負債対資本の比率(Debt-to-equity ratio)が3:1を超えない事。
TISOの認定を受けるには更に以下の条件を満たす必要があります。
4. タイ法人であること、または設立すること。
5. 年間1,000万バーツ以上の販管費(販売費および一般管理費)が発生すること。
適格業務
TISOとして認められる事業内容は以下に列挙します。一番目の事業活動のみ、関連会社に対する活動であり、二つ目以降の業務は第三者に対するサービスまたは販売が認められます。TISOの申請時にどの業務をするかピンポイントし、事業計画を作成し、BOIへ申請をします。携わるつもりも予定も無い業務内容を「とりあえず」入れて申請することは認められません。BOIの投資奨励を受けた後、業務内容を追加もしくは削除することはできます。
1. 関連会社のモニター(監視)、または関連会社へのサービスの提供。関連会社に対する事務所または工場の提供や賃貸も認められる。(関連会社との取引であることが条件になっている項目は当該項目のみである。)
2. 事業運営 (Business Operations) に関する相談業務。ただし、証券取引、及び外国為替に関するコンサルティング業務を除く。(ビジネスコンサルティング、会計、法律、広告、建築、土木エンジニアリングに関わる業務も認められるが、BOI奨励の申請前に管轄官庁より許認可を得る必要があります。)
3. 商品調達のための情報提供サービス。
4. 技術的もしくは専門的なサービスの提供。(ただし、建築、土木技術に関わる物を除く。)
5. 機械、エンジン、設備、及び道具に関する事業。例えば以下のような業務:
- 卸売のための輸入 (タイ資本は不要。又、1億バーツの資本金も不要。)
- 訓練サービス
- 据え付け、補修、修理
- 機器校正 (Calibration)
6. タイ国内で製造された製品の卸売
7. 通信ネットワークを通じた、国際ビジネスプロセスアウトソーシング (International Business Process Outsourcing) 業務サービスの提供 。(適格サポートサービスの例:総務、財務、会計、人事、営業・マーケティング、顧客管理、データ処理。)
外国人事業ライセンス (FBL=Foreign Business License) 等
BOIよりTISOの認定を受けることができたら、原則的に外資100%でも承認された事業・業務を営むことができます。しかしながら、BOIより奨励を受けてから、商務省の事業開発局(DBD=Department of Business Development)より外国人事業証書(FBC=Foreign Business Certificate)を取得する必要があります。(ほぼ自動的に発行されると考えて差し支えありません。)
しかしながら、適格業務の2にある通り、「会計、法律、広告、建築、土木エンジニアリングに関わる業務の場合」BOIの申請をする前にFBL及び関係許認可を取得する必要があります。
TISOの取得に係る私共のサービスの内容は以下の通りになります。
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BOIの申請書の作成
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BOI申請書への添付資料等の精査及び整理(事業計画等の資料自体はお客様に作成して頂きます。)
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BOI担当官との継続的な調整(質問等に対する対応)
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BOI担当官とのミーティングのアテンド及び通訳(英語⇄日本語)
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BOI証書の英訳
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上記の遂行に必要な連絡業務
TISO取得に関わる私共のサービス料は1時間2,500バーツとなります。業務に携わった私共のコンサルタント等の人数及び要した時間を1/10時間単位(6分単位)で記録してご請求をさせて頂きます。(実費、VAT、政府・BOI手数料はサービス料には含まれておらず、追加的なご請求になります。)
"INTERNATIONAL BUSINESS CENTER"
「国際ビジネスセンター」
基本要件
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会計期末毎に、少なくとも1千万バーツの払込済資本金があること。
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少なくとも10名の、IBC事業に関する専門知識を有する従業員が正規雇用されている事。ただし、財務管理サービスだけを提供する場合、少なくとも5名はいる事。
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IBCとしての適格サービスを関連会社に提供する事。(BOI担当官に口頭で確認をしたところ、少なくともタイ国外関連会社1社に対し適格サービスを提供する必要があります。国外会社からの収入が全収入をしめる必要最低割合や最低金額水準は特に決まっておりません。また、国際貿易業をする場合、関連会社に提供するサービスとして「マーケティング及びセールスサービス」のみならず、例えば「事業マネージメント全般サービス」も提供する事が求められます。要するに国際的な「本部」らしい機能を果たす事が求められます。)
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負債:資本の率は3:1を超過しない事。(過剰な負債は認められません。)
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一定率以上の付加価値創出要件は適用されません。(BOIより恩典を受けるために、原則的に10%〜20%以上の付加価値を産む事が求められますが、IBCの場合、当該条件は求められません。)
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年間6千万バーツの事業経費を支払っている事。ただし、軽減税務措置を求めない場合(100%外資・日本資本を求める場合等)当該事業経費に関わる要件を満たす必要はありません。
経緯
タイは2017年にOECDのBEPSに対処するための包摂的枠組に参加をし、OECDの有害な優遇税制に関する2017年の進捗レポート上、タイの国際本部(IHQ)、地域統括事務所(ROH)、トレジャリーセンター、及び国際貿易センター(ITC)を有害な優遇税制として認定されました。これに対し、2019年3月25日にタイの内閣は地域統括事務所2(Regional Operating Headquarters 2=ROH2)、国際本部(International Headquarters=IHQ)、国際貿易センター(International Trading Centers=ITC)に対する優遇措置を2019年6月1日より廃止することを決議しました。(その時点においてはROH1の優遇措置は既に廃止されていました。)廃止される優遇措置の後継として国際ビジネスセンターが国王勅令第674号をもって生まれました。
主要根拠法等
(1) Royal Decree No. 671, 672, 673, 674 (2018年12月28日官報掲載、翌日施行)
(2) Notification of the Director-General of the Revenue Department No. 13 (May 2, 2019) (遡及的に2018年12月29日より有効)
https://www.rd.go.th/publish/fileadmin/user_upload/kormor/newlaw/Eng_IBC_Notification.pdf
(3) Announcement of the BOI No. Sor. 6/2561 Promotion of International Business Centers (2018年12月11日布告、即日有効)
See https://www.boi.go.th/upload/content/S6_2561_EN_5c496fa941e85.pdf
https://www.boi.go.th/upload/content/IBCsor6_61_5c21d7eac9266.pdf
http://www.faq108.co.th/boi/announcement/pdf/2561_ngor01.pdf
http://www.faq108.co.th/boi/announcement/pdf/2561_sor06.pdf
(4) Ministerial Regulations No. 13 (B.E.2497) issued under the Exchange Control Act B.E.2485
(5) Notification of the Ministry of Finance on Directions of the Minister to Treasury Centers dated 30th June B.E.2547 Clause 3 and Clause 4
(6) Notice of the Competent Officer Rules and Practices regarding Treasury Centers
(7) Foreign Business Act, Section 12
https://www.dbd.go.th/dbdweb_en/download/pdf_law/FOREIGN_BUSINESS_ACT_BE2542/act/1FBA-FINAL[1].pdf
関係省庁
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BOI:非税務恩典(100%外資等が認められるため)を受けるためにはBOIより承認を受ける必要があります。
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歳入局:税務恩典を受けるためには歳入局より承認を受ける必要があります。
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タイ中央銀行(BOT):トレジャリーセンターとしての活動をする場合、BOTより承認を受ける必要があります。
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商務省事業開発局(MOC/DBD):事業開発局(DBD)にてタイの法人を設立する必要があります。また、外資100%の場合、DBDより外国人事業ライセンス(Foreign Business License=FBL)または外国人事業証書(Foreign Business Certificate=FBC)を取得する必要があります。BOIより非税務恩典を受けた場合、後者のFBCの申請となります。
定義
国際ビジネスセンター (International Business Center = IBC) の基本的な定義は、タイ国外の関連会社にも適格役務(サービス)を提供するタイ法上設立登記された会社だと言えます。BOI上の定義と歳入法典(勅令第674号)上の定義・条件がそれぞれあり、外資(日本資本)100%等の非税務恩典だけで運営できれば良い場合、BOI上の定義だけを満たせば良い。税務上の恩典も教授するためには歳入法典下で発行された勅令No. 674が設ける条件を満たす必要があります。また、BOIの奨励を受けず直接DBDに外国人事業ライセンスを申請、取得する方法もありますがこの場合のIBCの定義及び当該ライセンス取得のための商務省独自の条件は規定されていないと思われます。
税法上の定義
国王勅令674号上、「IBC」の定義は、管理サービス、技術的サービス、支援サービス、又は財務管理サービスを関係会社に提供するためにタイ法上設立登記され、歳入局長が認定する会社です。同勅令は、更に以下の定義も提示しています。
「支援サービスの提供」とは、以下のいずれかのサービスの提供を意味します。
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一般的管理、事業計画作成、及び事業コーディネーション
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原料又は部品の調達
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製品の調査・開発
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技術的支援
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マーケティング又は販売促進
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人事管理および訓練
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財務関連相談業務
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経済及び投資分析及び調査
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クレジット管理及びコントロール
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その他歳入局長が定めるも業務の。
「財務管理サービスの提供」とは以下のサービスの提供を意味します。
外為法上承認されたトレジャリーセンターが提供する財務管理、又はタイバーツの貸し借り。
「国際貿易」とは、物品の調達及び販売に関連するサービスの提供の有無に関わらず、物品の国際的な調達及び販売を指す。国際通商に関連するサービスとして、以下が含まれる:
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物品の調達
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発送前の倉庫サービス
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包装サービス
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物品の輸送
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物品に対する保険
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物品に関する相談、技術的、及び訓練サービス
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その他、歳入局長官が指定するサービス
歳入局長の承認・認定を受けるためには、地域もしくはグローバルのレベルでビジネスセンターになる事を証明する事業計画を申請書と共に提出する必要があります。
IBCとしての認定を受けるためには更に、以下の条件を満たす必要があります。
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会計期末毎に、少なくとも1千万バーツの払込済資本金があること。
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少なくとも10名の、IBC事業に関する専門知識を有する従業員が正規雇用されている事。ただし、財務管理サービスだけを提供する場合、少なくとも5名はいる事。
税務上の優遇措置を受けるためには上記の全てを満たし、且つタイ国内者に対し少なくとも年間6千万バーツの事業経費を支払っている事。ただし、以下の場合当該金額を下回ることが認められる。
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IBCへの変換をする地域統括事務所(Royal Decree No.405に基づくROH1)の場合。(ただし、法人税率8%の適用しか受けることができない。)
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IBCへの変換をする地域統括事務所(Royal Decree No.508に基づくROH2)の場合。(ただし、法人税率8%の適用しか受けることができない。)
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IBCへの変換をする国際本部(Royal Decree No.586に基づくIHQ)の場合。(ただし、法人税率8%の適用しか受けることができない。)
税務恩典
当該勅令674号上、税務上適格なIBCは以下の税務優遇措置を原則15年間享受することができます。
法人税
以下の通りの法人税率:
8%:会計年度中、タイ国内者に対し6千万バーツ以上を支払った場合。
5%:会計年度中、タイ国内者に対し3億バーツ以上を支払った場合。
3%:会計年度中、タイ国内者に対し6億バーツ以上を支払った場合。
受取配当
タイ国内外の関連会社より受け取る配当は法人税免税。
源泉徴収税
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タイ国外の株主に対する配当は免税で源泉徴収をする必要は無い。
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トレジャリーセンターとしての事業をするための借り入れに対する国外者に対する利息の支払いは免税となり源泉徴収をする必要は無い。
特定事業税
適格トレジャリーセンター所得については特定事業税は免除。
個人所得税
適格外国人従業員の適格受取給与に対する個人所得税率は15%。
BOIによる定義
投資委員会布告第Sor. 6/2561号(件名:国際ビジネスセンター事業の投資促進)においてもIBCの定義がなされています。ここでは、IBCとは、(1)タイ国内で設立され、(2)地域及び世界的に、(3)関連会社に対し、(4)管理サービス、その他サービス、もしくは国際貿易事業に従事し、且つ、(5)下記の条件を満たし、(6)BOIの奨励を受けた会社を指していると解すことができます。
1. 関連企業に対し、以下のサービスのいずれかを提供する事業計画を有すること。
1.1 一般管理、事業計画立案、ビジネスコーディネーション
1.2 原材料および部品の調達
1.3 製品の研究開発
1.4 技術支援
1.5 マーケティングおよび販売促進
1.6 人事管理、トレーニング
1.7 財務に関するアドバイス
1.8 経済と投資の分析および研究
1.9 ローン管理・コントロール
1.10 財務センター (Treasury Center)の財務管理サービス
1.11 国際貿易事業
1.12 歳入局が規定したその他の支援サービス
2. 1千万バーツ以上の払込済み資本金を有すること。
3. IBCに必要とされる知識および技能の持つ従業員を10人以上雇用すること。ただし、関連企業への財務管理サービスのみを提供する場合は,関連知識および技能の持つ従業員を5人以上雇用すること。
4. 国際貿易事業を行う場合、上記の事業範囲の1.1-1.10の中に1つ以上有すること。
非税務恩典
BOIはIBCに関しては税務上の優遇措置を施していないが、以下の非税務恩典を享受することができます。
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外国人事業法上の制限に関わらず、100%外資(日本資本)が認められる。
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IBCの外国人(日本人等)従業員はビザ及びワークパーミットの容易な取得。
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IBC事業のための土地の所有が認められる。
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機械(R&Dもしくは訓練用)の輸入関税免除。
IBCに関わる私共のサービス料は1時間2,500バーツとなります。業務に携わった私共のコンサルタント等の人数及び要した時間を1/10時間単位(6分単位)で記録してご請求をさせて頂きます。(実費、VAT、政府・BOI手数料はサービス料には含まれておらず、追加的なご請求になります。)
"JAPAN THAI ECONOMIC PARTNERSHIP AGREEMENT"
「日タイ経済連携協定」
「経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定」( = "JTEPA"は2007年4月3日に日タイ間で署名され、2007年11月1日からより効力が生じました。JTEPAのお陰で、限定的ではあるものの、次の表に掲げる事業を営む会社は、その株式持分のは過半数が「タイ人」で無くてもよくなりました。これに該当する日系の会社は、JTEPAにより外国人事業ライセンス(FBL=Foreign Business License)を取得する必要は無くなりましたが、依然外国人事業証書(FBC=Foreign Business Certificate)の申請・取得をする必要はあります。(ほぼ自動的FBCは発行されますが。)なお、当該協定の恩恵を受けFBCの発行を受けるためには申請者は以下の通りの「日本人」である必要があります。
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原則的にタイ法上設立登記された非公開有限会社であること。(例外的に登記普通パートナーシップ、または有限パートナーシップも認められる業種もあります。)
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会社の株主数のうち、外国人の数はその50%より少ないこと。
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会社の株主は以下の条件を満たしていること:
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日本国籍を有する自然人であること。
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株主が日本国法上設立登記されている法人の場合、当該法人は以下の条件を満たしていること。
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当該法人の株式の50%超が日本人により保有されていること。
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取締役の過半数が日本人であること。
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会社を代表して署名する権限を有する取締役が日本人であること。
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*「マネージメント コンサルティング サービス」の定義
事業促進局(MOC/DBD)担当官の口頭の見解によりますと「マネージメント コンサルティング サービス」の定義は、国連の商品分類上のSubclass 86501 ("General management consulting service")に該当し、この定義は以下の通りであり限定的であると言えます。
"Advisory, guidance and operational assistance services concerning business policy and strategy and the overall planning, structuring and control of an organization. More specifically, general management consulting assignments may deal with one or a combination of the following: policy formulation, determination of the organizational structure (decision-making system) that will most effectively meet the objectives of the organization, legal organization, strategic business plans, defining a management information system, development of management reports and controls, business turnaround plans, management audits, development of profit improvement programmes and other matters which are of particular interest to the higher management of an organization." (Provisional Central Product Classification United Nations Department of International Economic and Social Affairs, Statistical Office of the United Nations. 1991 Series M No. 77, PAGE 67)
JTEPAに係る私共のサービスの内容は以下の通りになります。
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貴社のJTEPA優遇措置享受の可否の確認(当局との調整)
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外国人事業証書(FBC)の申請サポート
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上記の遂行に必要な連絡業務
私共のサービス料は1時間2,500バーツとなります。業務に携わった私共のコンサルタント等の人数及び要した時間を1/10時間単位(6分単位)で記録してご請求をさせて頂きます。