2024年5月
"TRADE & INVESTMENT SUPPORT OFFICE"
「貿易投資支援事務所」
タイの外国人事業法により、資本金の過半数が外国人(日本の法人等)に保有さている会社(タイ現地法人等)は、原則的にサービス業を営むことが認められません。また、ビザ・労働許可証的な観点から、外国人(日本人)を雇用するに当たって、外国人一人当たり2百万バーツの資本金、及び4名のタイ人を雇用することが必要となります。また、外国人の最低月給は、5万バーツとなります。
しかし、タイ国投資委員会(Board of Investment = BOI)の奨励を受けた場合、上記のような制約から解放される場合があります。BOIは、様々な奨励対象事業を指定していますが、その内、「貿易投資支援事務所 」(Trade and investment Support Office = TISO)と言う枠があります。1千万バーツ以上の年間販売管理費があり、適格業務に従事する場合、TISOの認定を受けることが可能となります。適格業務とは以下の通りになります。
適格業務
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関連会社のモニタリング(監視)、または関連会社へのサービスの提供。適格サービスとして以下が含まれる:関連会社に対する事務所または工場の賃貸、関連会社に対する以下の類の貸付け業(ただし、トレジャリーセンター業務に該当しないこと):
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国外関連会社に対する外貨建ての貸付け
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タイ国内関連会社に対するバーツ建ての貸付け
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タイに隣接する国の関連会社に対するバーツ建ての貸付け(ただし、タイ又はタイとの隣接国との取引又は投資に当該資金を使用すること)
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事業運営(オペレーション)に関する相談業務。ただし以下に関する相談業務を除く:証券取引、外貨取引、会計、法務、広告、設計・土木関係。
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商品調達のための情報提供サービス。
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技術的及び専門的サービス。ただし、設計・土木関係を除く。
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機械、エンジン、工具、および設備に関連する以下の業務
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卸売のための輸入(100%日本資本が可能。1億バーツの資本金も不要。)
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訓練サービス
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据え付け、補修、修理
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機器校正 (Calibration)
ただし、関連会社が製造したもの又は製造元より公式認定を受けている場合に限る。
6. タイで製造された製品の卸売・商社業
7. 通信通信ネットワークを通じた、国際ビジネスプロセスアウトソース (International Business Process Outsourcing) 。以下の類の業務の何れかを対象とする:
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アドミンサービス(総務)
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財務・会計関連業務
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人事
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営業・マーケティング
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カスタマーサービス(例:コールセンター)
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データ処理
恩典内容
TISOの資格を取得した場合、以下の恩典を享受することができます:
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100%外国人資本(日本人、日本法人等)でもIBPO事業の運営が認められる
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土地の保有が認められる
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必要に応じた外国人(日本人)の雇用が認められる
「必要に応じた外国人(日本人)の雇用が認められる」とは、原則的に、記述の外国人一人当たり2百万バーツの資本金要件、及び4名のタイ人を雇用する要件が無くなり、むしろ、BOIが認めた範囲内で外国人を雇用することが可能となることを意味します。ただし、最低月給は外国人に支払う義務は残ります。(コールセンターの場合、外国人の最低月給は3万バーツになります。)
主要条件
記述の通り、TISOとして認められるためには毎年の販売管理費は1千万バーツ以上なければなりません。
土地所有
土地法により外国人及び49%以上の株式が外国人に保有されている会社は、原則的タイの土地を所有することが禁止されています。例外的に、BOIまたはタイ国工業団地公社(Industrial Estate Authority of Thailand = IEAT)等により許可を得た場合、所有することができます。
BOIのこの権原は投資奨励法第27条になり、これによりBOIはTISOを含めた奨励対処法人に対し土地保有を承認することができます。詳細規定はBOI 布告6/2565 (2022年)に示されており、要点は以下の通りになります。
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投資奨励対象会社の払込済資本金は5千万バーツ(50,000,000 Baht)以上であること。
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事業所用の土地については5ライ (8,000平方メートル) 以下に限る。
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管理職又は専門家の住居用土地は10ライ (16,000平方メートル) 以下に限る。
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スタッフの住居用土地は20ライ (32,000平方メートル) 以下に限る。
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BOI奨励事業が終了した場合、終了から1年以内に売却すること。